【雑文】Eテレは心の食物繊維

息子が生まれてから、朝は専らEテレを流している。それまではずっと民放の朝の情報番組を見ていたが、どの局も凄惨な事件や胸糞悪い犯罪や興味のない芸能人のスキャンダルを伝えるニュースを挟んでくるため、朝からネガティブな気持ちになり、モヤモヤしたまま出勤する日も少なくなかった。

 

息子を産んですぐのとき、実家に帰っていた私は一日中3時間おきの授乳で寝不足でなり、朝からそういったネガティブなニュースを授乳しながら見続けていると本当に精神を病んできそうになった。

かと言って、出勤前の母が観ているので勝手に変えるわけにもいかず、なるべく観ないようにするも耳障りの悪いニュースは私の中に入ってくる。

 

母が出て行った後、ぽちぽちとザッピングしていると、一瞬、ひときわ明るくて爽やかな声が聴こえてきて思わずリモコンを押す手を止めた。

 

子供の頃に見ていた「おかあさんといっしょ」だった。キラキラで眩しいお兄さんとお姉さんたちが明るくはつらつとした声で呼びかけてくる。

 

「みんな〜!!元気〜!?」

「今日はみんなでお弁当を作るわよ〜!これっくらいの!おべんとばっこに!おにぎりおにぎりちょいとつめて!」

 

……

 

うわぁ〜!!わたしもおべんとつくる〜!!!

おにぎりおにぎり具は高菜〜!!シャケと唐揚げもいれてぇぇぇ!!!

 

さっきまで情報番組で取り上げられていたタチの悪い煽り運転の映像を見て、行き場のない苛立ちと胸糞悪さを抱えていた31歳の女は、新生児の乳飲み子を抱えたまま、精神年齢が一気に3歳児まで急降下。

 

次はどんな曲が始まるのかな!?知ってる曲かな!?人形劇はどんなお話かな!?

 

子供のとき、母の隣で毎日ワクワクしながら見てたおかあさんといっしょ。あのときの興奮が枯れたアラサーの心に再び甦ってきたのである。

んな大袈裟な、と思うだろう。今の私ならそう思う。しかし感情変動の幅が非常に広く、ちょっとしたことでもテンションが乱高下するのが当時真っ只中だった産後メンタルなのだ(多分)

 

その日はそのままEテレに釘付けになり「いないいないばぁっ!」や「ピタゴラスイッチ」「えいごであそぼ」「みんなのうた」9時台から始まる学校教育系番組を一気に観た。体調を崩して学校を休んだときに少し罪悪感を感じながらもワクワクしながら観ていたEテレゴールデンタイム(と私は呼ぶ)の数々の番組を、産後の31歳が当時と同じような気持ちとテンションで目に焼き付けていた。

つわりが酷く仕事を辞めざるを得なくなり、コロナ禍もあり毎日家に篭り続けていた日々は、なんだか後ろめたさを感じていたが「元気になればまた学校(社会)に行けばいいんだよ」とEテレゴールデンタイムが言ってくれている気がした(超解釈)

 

この日からEテレに安心感と癒しを覚えた私は、母が出勤したあとは即Eテレにチャンネルを変えた。里帰りを終え自宅に戻り、息子が2歳になった今も朝はEテレ一択である(本来は子供のための番組編成なので、子供がいる家庭がこの時間にEテレを観てることはごく普通のことなのだが)

 

最近では息子もEテレ大好きっ子となり、癇癪を起こしたときに録画しているピタゴラスイッチやいないいないばぁっ!を見せると、機嫌を直してくれるようになった。また、いろんな曲に合わせて踊ったり、家にあったり知ってる物が映ったら「これ知ってるよ!」と指をさして教えてくれるようになった。

 

 

私はEテレゴールデンタイムは心の食物繊維だと思っている。人の腸内にいる悪玉菌と善玉菌のバランスが、善玉菌優勢にならないと良い腸内環境にならないらしい。そのために健康意識の高い人は、日々善玉菌の餌になる食べ物を選んで摂取している。その餌になる食べ物が食物繊維である(他にもあるけど)。腸内環境が整うと、余計な老廃物が排出され、新陳代謝が行われて若々しくいられるという。

人間の心をこの腸内環境に例えて話を続けさせてもらうが、私も心の悪玉菌の餌になるようなネガティブな情報はなるべく避け、心の食物繊維とも言える癒しのEテレゴールデンタイムの番組を摂取し、なるべく心の腸内環境を整えて、心の老廃物をデトックスしていきたい所存である。

 

昨今過激政治団体から、ぶっ潰す!と言われているNHKだが、Eテレだけはぶっ潰すのはご勘弁してもらえないだろうか。ここにすごく救われて助けられてる人間がいる。

強いて言えば、動画だけでなくさまざまなサービスを受けられるAmazonプライムの倍以上の月額費をたった2チャンネルに払うのは(いくらEテレの番組が上質とは言え)さすがに高すぎるので、設定料金の高さをぶっ潰していただけると非常に助かります。