【続】人生初のホームステイで異国の洗礼を受けた汚話(おはなし)inマレーシア

昨日のブログを読んだ、当時一緒にホームステイをしたクラスメイトから「あのドライブのとき、もう一人お姉さんも乗ってたで。一緒に写真も撮ってたで」と連絡があったので、訂正してお詫び申し上げます。暴走カローラは定員5名のところ、運転席助手席合わせて8名乗車していたことが発覚しました。アルファードのキャパシティやん。

 

okamonnu.hatenablog.com

 

昨日のホストファミリーの家族紹介から、既にお姉さんを忘れていてしまい、本当に申し訳ない。そのお姉さんはとても優しく和やかに我々に接してくれた。

次の日両親や兄弟たちは仕事や学校に行ってしまい、私たちはすることが無さすぎて暇だったので、家事をしていたお姉さんに「村を散策してきていいですか?」と尋ねたところ「いいけど、たまにジャングルに野生のトラがいるから気を付けてね」と言われて戦慄したのを覚えている。

 

それでもすることがなかったので、ジャングルに入らなければ大丈夫だろうと村の中を散策していると「ドカーーーン!!」という大きな音がジャングルの中から聴こえ、見ると砂埃が立っていた。隕石でも落ちてきたのか!?と思い、砂埃が立った場所をよく見てみると、巨大なヤシの実が落ちていた。あんなのが頭の上に落ちてきたら即死確定だ。

 

恐れ慄きながらその場を離れようとした矢先、我々はジャングルの入り口に更にとんでもない物を見つけてしまう。

それは今まで見たことない、バレーボール大の巨大な巻き糞だった。それまで私は巻き糞なんて漫画の中にしか存在しない、妖精のような類、いわゆるファンタジーだと思っていた。しかしここマレーシアの田舎の村に、例に漏れず数匹のハエを従え、圧倒的な存在感を放ちながらそれは確かに存在していた。あれはまさに絵に描いたような、THE巻き糞!というような、ステレオタイプの巻き糞だった。

それを見た瞬間「野生の虎のやつに違いねぇ!!」と思った我々は、一目散にホームステイ先の家に逃げ帰った。

迎え入れてくれたお姉さんは「あら、早かったのね。何か発見はあった?」と聞いてくれたが、私は巻き糞を英語に訳すことができなかった為「ソーエキサイティング!」とだけ伝えてその場を凌いだ。

 

 

 

お姉さんは関係ないが、こんなこともあった。

 

当時のマレーシアにはトイレットペーパーがなく(首都クアラルンプールの有料トイレにはあった)我々修学旅行生はみんなトイレットペーパーを持参していた。

現地の人は用を足した後どうしていたかと言うと、トイレの中に便器とは別にに水の入った桶があるので、そこから柄杓のような物で水を掬って洗い流すのだ。その後濡れた箇所をどうしているのかは未だに謎である。

 

ホームステイ先のお宅のトイレにももちろんトイレットペーパーはない。だが、水の入った桶も見当たらなかった。みんな用を足した後どうしているのか気になって仕方なかった。しかし悲しいことに英語力がないので聞けなかったし、極力そのことについては考えないようにしていた(現実逃避)

 

夜になりお風呂に入りたかったので「Can I take a bath?」と自分の持てる英語力をフルに活かしてお父さんに尋ねたところ「もちろんだよ!どうぞ」と案内してくれた。そこは我々が想像しているバスルームやシャワールームではなく、先ほどから何回か使わせてもらっていた和式トイレだった。

 

?????

 

Bathはお風呂って習ったはずだけど、もしかしてネイティブ(第二言語だけど)の人ってトイレのことをBathと呼ぶのか?日本のユニットバスって風呂とトイレが一緒だもんな…?あれ?じゃあここがトイレ兼風呂なのか?

 

湧き上がる疑問をお父さんにぶつけたかったが、いかんせん英語が出てこないので、郷に入れば郷に従えだ!!と自分を奮起し、この謎のBathを一人で攻略することにした。

 

くまなく室内を観察してみる。四方をタイルで囲まれた室内。床には和式便器。右奥に貯水タンク。その少し下に蛇口があり、そこから伸びる50センチくらいのホース…

 

なるほど!このホースがシャワーなんだ!

 

そう思い、私はその異様に低い位置から延びる、異様に短いホースを使って、体を低くした変な体勢で頭から水を浴びた。マレーシアは常夏の国なので、一般家庭は水しか出ない。

常に便器とフェイス・トゥ・フェイスで体を洗う異常な光景は、人生で誰にも見られたくない瞬間ベスト5にランクインした。本当にこれで身体が洗えているのか、本当にこれがマレーシアのお風呂なのか…そんな不安を払拭すべく、短いホースで水を浴び続けた。人んちの便器を見つめながら…

 

しかしまだ17歳のいたいけな乙女が、なにが悲しくてこんな異国の地の人の家の便器と照れるくらいの至近距離で見つめ合いながら身体を洗わなあかんねんと、やりきれない悔しさに苛まれた。何がと言われたら上手く説明できないが、このとき確実に、人間としてのなにか大切なものを失った気がした。

 

全く綺麗になった気がしないまま風呂兼トイレから上がり、家族にお礼を言った後、まだ風呂に入っていなかったクラスメイトに即報告した。

「風呂はトイレ!シャワーはホース!常に便器とこんにちは!全然綺麗になった気がしない!!気を付けろ!!」

というようなことを必死で捲し立てたが「トイレがお風呂ってこと?まぁ行ってくるわ」と彼女は冷静に風呂兼トイレに向かっていった。

 

可哀想に…この後すぐに私の言ったことが理解できるさ…せめて人間の尊厳だけは失わない心を彼女が持っていることを祈る…グッドラック…

そう思いながら、心の中で親指を立ててクラスメイトを見送った。

 

 

しばらくすると風呂を終えて彼女は出てきた。動揺していた様子はなく、平然と私にこう言った。

「普通にシャワーあったで。壁に空いてた穴から水が勢いよく出たから、あれがそうやろ」

 

…なに!?壁に穴だと!?全然気づかなかった…!いや、あったかもしれん、あったかもしれないが、そんなんただの穴やと思うやん!普通シャワーって言ったらホースの先に付いてるもんやん!あれがシャワーやと思うやん!例え異様に短くあんなに低い位置に付いていたとしても…!

 

ショックに打ちひしがれる私に、クラスメイトは更なる追い討ちをかけてくる。

 

 

「あのホース、お尻洗うやつやろ」

 

 

あのホース、お尻洗うやつやろ

 

 

お尻洗うやつやろ

 

 

お尻洗うやつ

 

 

お尻洗う

 

 

お尻洗

 

 

お尻…

 

 

 

晴天の霹靂を喰らったと感じたのはこの時が人生で初めてだった。彼女の言葉が頭の中をこだまする。

絶望。これが絶望か。私は異国の地の人の家で、便器とフェイストゥフェイスしながら、ご家族愛用の尻洗い専用ホースで全身くまなく洗ったというのか。殺してくれ。いっそ私を殺してくれ。

 

f:id:okamonnu:20230225014721j:image

 

その日は絶望のあまり、ほとんど眠れなかったのを覚えている。

 

 

 

そんな数々の洗礼を受けたことも、今となってはいい思い出である。

なにより感じたのは、英語が通じる外国に行くには、わからないことを教えてもらうためにも英語力がかなり必要だということ。そして、異国の地で初めて使う様式の風呂に入る時は、入念なリサーチと観察をすることが大切だということだ。

 

 

 

はてなブロググループに参加しました。ボタンを押してもらえる回数が多いと、ランキングに入るらしいです。ポチッと応援していただけると嬉しいです。