ここ数日、天候が悪かったり、私が体調崩したりで全然外に出ていなかったので、息子も遊びたいだろうと近くの公園に行くことにした。なんせ私がまだ咳や鼻水が出るもんだから、小さい子のいない人気のない時間に行ってサッと帰って来ようと、いつもは午前中に行くところを、午後に時間をずらして向かうことにした。
普段は午前中は息子と同じくらいのお子さんと親御さんが何組かいるが、午後はほとんど人がいないので今日もそうだろうと想定して公園に行くと、大誤算。小学生中学年くらいのお子さん達で大賑わいしていた。そうか、春休みか。しばらく引きこもっている間にとっくに世間は春休みになっていた。
公園に着くなり、ボール遊びをしている男の子たちの元へ息子はダッシュしていく。お目当てはボールだ。うちからもボールを持ってきているのにそれには目もくれない。今は何でも人の物がいいブームなのだ。非常に困る。
息子を追いかけていくと、男の子がこんにちは!と挨拶してくれた。
こちらも「こんにちは。ボール遊びの邪魔してしまってごめんね」と返す。
「いえ!このボールがいいのかな?使っていいよ!どうぞ」
と今まで遊んでいたボールを息子に貸してくれた。
申し訳ないので家から持ってきたボールを渡そうとすると
「大丈夫、僕たちは今から鬼ごっこするんで!みんなー!!鬼ごっこしよー!!ジャンケンで鬼決めるでー!」
今まで遊んでいたボール遊びから、機転を効かせて即座に手ぶらで遊べる遊びに変更してくれた。なんて優しい子なんだ。イケメンすぎるだろ。惚れてまうわ。それにすぐにその提案に乗って遊びを切り替えてくれる周りの子も優しすぎる…
小学生たちが鬼ごっこで遊んでいるのを、貸してもらったボールを握りしめながらボーッと一箇所で眺めている息子。ボールで遊ばへんのかーい。
同じ箇所でジッと固まっているので、少しでも息子の気を引こうとシャボン玉(手で振るだけでできるタイプ)をする私。ボールを握りしめながらシャボン玉を少し追いかける息子。ボールは持ってるだけで満足なのね。
すると、一人の女の子がこちらに近付いてきた。
「あのね、このシャボン玉、前同じの持ってたよ!ここの部分が壊れて捨てちゃったんだ」
めっちゃ気さくに話しかけてくれる。
「そうなんだ。久しぶりにこのシャボン玉で遊んでみる?どうぞ」と渡すと嬉しそうにシャボン玉で遊びだす女の子。かわいい。
「私、身長小さいけど次4年生になるの。もうしばらくシャボン玉してなかったけど、久しぶりやったら結構難しいなぁ」
初対面の四半世紀ほど歳の離れた私に、こんなに話してくれるのかわいいし嬉しいなぁ。小学4年生ってこんなに純粋でかわいいのか。そうやって心が洗われると同時に、今(2歳)が一番かわいいねと言われる息子もまだまだかわいい期間が保証されてると確信した瞬間でもあった。
彼女が友達との輪に合流するのを見送ると、突如私のお腹が痛みだす。やばい、トイレ行きたい。
「そろそろお兄ちゃんにボール返そうか。おうちでおやつ食べよう」とボールを握りしめる息子に話しかけたが、案の定返すのが嫌で逃げ回る。しかし私のお腹もどんどん痛みを増していく。時間の猶予はない。
強制的に息子を抱えてボールを貸してくれた男の子に駆け寄り、そろそろ帰るからボールを返すね、貸してくれてありがとうと声を掛けた。
息子の持っていたボールを男の子に渡した瞬間、お約束の通り息子大号泣。いやぁぁぁぁ!いやぁぁぁぁ!!と、悲壮感漂う声で泣き叫ぶので、男の子が気を遣って「僕はもうボールで遊ばないから、まだ遊んでてもいいよ」と言ってくれたのだが、いかんせん私の下腹部が限界に近づいている。
「ありがとう、けど、用事があってもう帰らなきゃいけないんだ」と脂汗をかきながら息子を引き剥がそうとする私。
すると、その様子を見た公園にいた子供たちが、一斉に私と息子の周りに集まってきた。
「赤ちゃん、泣いてる!」
「みて!いないいない…ばあ!」
「これさっき摘んだお花だよ、あげるね」
「これみて!私の育ててるハムちゃん(のゲーム)!かわいいよ!ハムちゃん好き?」
みんなあの手この手で息子をあやそうとしてくれる。なんてみんないい子たちなんだ…そしてなんだこのあったかすぎる空間は…この町の子供たちはみんな天使なんか…全員道徳5の町なのか…その優しすぎる光景にグッと目頭が熱くなった。
なかには「あのボールね、イオンの3階に売ってるよ!色違いのピンクもあるよ!」と息子の為にと有益な情報をくれる子もいた。十人十色の優しさを持ち合わせている子供たち…この辺の親御さんたち絶対みんないい人やん…これから安心して子育てできるわ。
優しい小学生たちのお陰で息子が徐々に落ち着きを取り戻してきたので「みんなありがとう!みんなのおかげで助かったよ。心配してくれてありがとうね。またよかったら一緒に遊んでね」と集まってくれた子供たちに声を掛けて家路に着いた。なにこの良いドラマ。さわやか3組やん。
感動に浸りながら帰りたかったが、腹痛の波がどんどん押し寄せてくるので、必死で家まで戻った。
帰宅し(用を足した後)一人の子がくれたたんぽぽを大事に活けた。
むかし陶芸で作った歪なお猪口がいいサイズ
この町でこれから育つはずの息子も、あの子たちのように優しく温かい心を持って成長していってくれるといいなあ。親である私もあの子たちを見習って、困っている人に当たり前のように手を差し伸べられる優しい人間になりたい。
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