【育児】泣きすぎて読み聞かせができない絵本「たぬきのおんがえし」

お題「我が家の本棚」

 

うちには私や夫が子供のときに読んでいたお気に入りの絵本があり、今でも現役選手として息子の読み聞かせに活躍している。

その中に、私が子供の頃に読んでいた「たぬきのおんがえし」という絵本がある。

教科書に載っている、癒し系たぬきによるほっこり作品「たぬきの糸車」ではない。

 

年老いたたぬきが、自分に親切にしてくれた山の和尚さんに恩返しをするという、昔話によくあるパターンの話なのだが、私はこの絵本を読むと絶対に泣いてしまう。名作アニメ特集のテレビ番組で、フランダースの犬の最終回の映像を流したときにワイプに映る柴田理恵さんくらい泣いてしまう。

 

同じ恩返しシリーズ(?)である、つるの恩返しやかさ地蔵では全く泣いたことがないのに、この差は一体なんなのか。あらすじ(ネタバレ)をお伝えしたい。

 

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山奥の古寺に一人で暮らす和尚。

ある寒い雪の晩、1匹の年老いたたぬきが訪ねてくる。

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雪を被りガタガタと震えていた老たぬきを可哀想に思った和尚は、優しく寺の中にたぬきを招き入れ、暖をとらせてあげる。

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長い間この山に住んでいたが、年老いてきたせいか今夜の雪は寒くて耐えられず、しばらく囲炉裏の火にあたらせてほしい。と懇願する老たぬき。和尚は快くたぬきを受け入れ、毎晩やってくるたぬきに暖をとらせてあげた。

それから月日が経ったある日「和尚さま、長い間ありがとうございました。今度は私に恩返しをさせてください。なんでも好きなことを仰ってください」と請う老たぬき。和尚は断るが何度も頼んでくるので「私が死んだときに人に迷惑をかけないように、少しだけお金が欲しい」と伝えると、次の日たぬきは寺を出て行ってしまう。

 

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その日から3年間、老たぬきは現れなかった。

可哀想なことを言ってしまった。お金ができないので恥ずかしくて戻ってこられないのではないか。お金を盗もうとして人に殺されたのではないか。と和尚は自分を責め続ける。

 

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雪の深いある年の大晦日、再び老たぬきが帰ってくる。痩せてがくがくと震えている老たぬきを、和尚は抱きかかえ囲炉裏に当たらせてあげる。

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聞けば、老たぬきはあれから遠く離れた佐渡島へ渡り、金山で働く人の捨てたわらじの裏に付いた金を集めていたと言う。老たぬきは手垢に汚れた布袋を和尚に手渡す。ずっしり重い布袋を開くと、たくさんの砂金がキラキラと輝いていた。

老たぬきはこれだけの金を集めるために、船に隠れて海を渡り、凍える冬の島で、火にも当たらず3年間も働き続けたのか。その苦労を思い、和尚は涙を流す。

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「つまらぬ話を聞かせて誠にすまなかった。私の望みはすっかり叶ったのだ。ありがとう。ありがとう」と和尚が拝むと、苦労が実ったと感じた老たぬきは、わっと泣き出した。

泣き続ける老たぬきを和尚はしっかり抱きしめた。その身体は氷のように冷え切っていた。

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老たぬきは自分がもうすぐ死ぬのを悟っており、せめて死ぬ前に、この山やお寺で何度も聞いた除夜の鐘を、自分も突いてみたいと和尚に頼む。

二人の鳴らす鐘の音がこだまして、正月を待つ山里に遠く響いていた…

 

 

ここで物語は終わる。

もうね、これを書いてるだけで泣けてくる。

自分を助けてくれた人の為に、危険を顧みず命を削って働いて恩を返す、老たぬきの義理深さ、誠実さ、健気さ、愛おしさ…

そして自分が死ぬ間際の最後の願いが、和尚さんと一緒に過ごしたときに聞いた除夜の鐘を、今度は一緒に突きたいという、些細で謙虚なものだったことも、健気で切ない。

 

これは想像でしかないが、老たぬきは和尚さんに出会うまで、ずっと一人ぼっちだったのではないか。自分を害獣と見なして攻撃してくるかもしれない人間の家に訪ねてくるほど、老たぬきは極限状態だったのだ。そんな中、とても優しく接してもらえたことで、老たぬきにとって和尚さんは、自分の命を削って過酷な労働をしてでも恩を返したいと思える、たった一人の大事な存在になったのだろう。もしくは寺にいるときから自分の命が長くないことを知っていたため、余生を全て和尚さんの為に使おうとしたのかもしれない。

和尚さんもまさか老たぬきがそこまでしてくれるとは思っていなかったはず。彼も優しい人で、自分がしたお願いのせいで老たぬきが衰弱して帰ってきたのは不本意だっただろう。

 

この物語は両者ともめちゃくちゃ善人なのだ。善人が故に相手のことを思い遣り、大切な人の為に全力で自分の命を燃やしたたぬきと、善人が故にそのことで自分を責め続けていた和尚さん。優しいふたりがお互いに相手を思い遣った末の結末が、こんなにも切ないなんて。

 

最後はきっと老たぬきは死んでしまうのだろうが、彼は最後に和尚さんに恩を返し、自分の苦労が報われ悔いることなく旅立てたんだろうな。和尚さんはきっとたぬきをしっかり供養してあげただろうし、たぬきが集めてくれた金のおかげで誰にも迷惑をかけずに最期を迎えられているはず。天国でまた二人が再開して、仲良く囲炉裏にあたりながら楽しく過ごしていてほしいな…と、そんなエピローグまで勝手に想像してしまう、素晴らしい絵本である。

 

調べたところ、タイトルが検索にほとんど引っ掛からなかったことから、既に絶版になっているようだ。こんなに素敵なこの絵本がもう世に出回っていないのが非常に残念である。

もし奇跡的にこのブログが、この絵本の関係者の方々の目につくことがあれば、ぜひ復刊、再販していただきたい所存である。

 

まだ2歳の息子には少し難しい内容だし、なんせ私が途中で号泣してしまうので、まだまともに読み聞かせられたことがないが、今のうちになんとか耐性をつけて、息子が話を理解できる頃には情感たっぷりに読んであげられるようになりたい。

 

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