【中編】オールナイトニッポンに出た話

前編はこちら

 

okamonnu.hatenablog.com

 

母から電話を代わると、男性の声がした。

「あなたが番組に応募してくれたオカモンヌさんですか?私はオールナイトニッポンスタッフの〇〇です。以前電話かけた時は出られなくてもう一度応募してくれたんですね!そんな熱量を見込んでもう一度連絡させていただきました」

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今もなお現役のビークルタオル

 

私の思いが伝わったんだ…!嬉しい!嬉しすぎる!

この後この男性スタッフさんから、番組の進行や、ギター演奏時に音がちゃんと電話を通して聴こえているかのチェック、こういう発言はしないでくださいという注意事項を説明された。

 

「あとは出演5分前にもう一度電話をしますので、必ず出てそのまま繋いでいてください。その後、番組内でヒダカさんがどうぞ!と合図を出しますので、それからギターを弾いてください」

 

「はい、はい」と説明を受けながら、私はガクガクと震えていた。もうすぐ憧れの人に自分のギターサウンドを聴いてもらうんだ…しかもオールナイトニッポン、全国放送。これは下手くそな演奏は絶対に聴かせられない。

 

この企画の課題曲(電話出演の後選ばれたリスナーが後日ビークルのライブで一緒にセッションする曲)は「HIT IN THE USA」というビークルを代表する人気曲なのだが、これまでの放送を聴いている限り、必ずしもこの曲を電話で演奏しなくてはならない訳ではないようだった。だが、この曲のリフが非常に初心者向けで弾きやすいので、ほとんどの出演者がこの曲を弾いていた。出演者は二回演奏する必要があり、その選曲センスも決勝(ビークルとセッション)へと駒を進める選考要因になっているのではないか、とヘビーリスナーの私は勝手に推測していた。


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「みんなと同じ曲を弾いたとて、何の印象にも残らないだろうな。それにもうちょっと難しい曲を弾いてヒダカさんに『お!こいつなかなかやるな!』と思ってもらいたい」という欲が出た私は、以前から耳コピしていた大好きな曲で勝負に挑むことにした。

 

私はタブ譜以外の楽譜が読めないので、教則本に載ってる曲以外は自力でコードを探り出し(めちゃくちゃ時間は掛かるが)なんちゃって耳コピで好きな曲を弾いていた。なんちゃってなので正しいコードではないと思うが、当てずっぽでそれっぽい音が出せて弾けるようになった曲も何曲かあった。この曲を本番で弾こう。夏休みとかに時間が有り余ってる時にやってた暇つぶしが、ここにきてやっと花咲くときがきた。

 

とりあえず急いで風呂に入り、よくビークルのライブに一緒に行く友達に「今日のオールナイトニッポンに出るから聴いて!」とメールを送り、そこからはひたすらギターの練習に励んだ。

現在時刻21時…オールナイトニッポンの放送時刻は深夜1時。スタッフさん曰く、2時ごろにコーナーが始まるので、あと5時間は練習できる。待ってろオールナイトニッポン。待ってろビークル。待ってろ私の初舞台。目覚めろ今の今まで眠っていた私のRock 'n' roll魂。

 

途中までやっていた宿題のことなど完全に忘れて、深夜までギターの練習に勤しんだ。近所迷惑なのでもちろんヘッドホン着用で。

 

そしていよいよ、深夜1時。あの有名すぎるオープニング曲が流れ、BEAT CRUSADERSヒダカトオルオールナイトニッポンが始まった。

 

to be continue…(後編へ続く)

 

 

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