【料理】思春期の尖りに尖った味噌玉

思春期…それは黒歴史を増産する魔の時代。

実際私も学生時代、失恋して激凹みしたときに失恋ソングを作って、それで終えときゃいいのに、歌もギターも全然上手くないくせに、あろうことか友達とバンドを組んでライブハウスで100人くらいの前でドヤ顔かましながらいけしゃあしゃあと歌ったことがある。今思い出しても穴があったらマントルまで掘り進んで燃えてなくなりたいくらい恥ずかしい。一緒にバンド組んでた友達、これ読んでますか。あの頃の音源や写真などがあったら庭に埋めてください。私はとっくに全て捨てました。漆黒すぎて。

 

それは置いといて、節約系YouTubeで習得した「味噌玉」という料理がある。味噌に出汁の素や生でも食べられるような食材(ネギとか油揚げとか)を入れて混ぜたものを、冷凍庫で保存しておく。必要な時にスプーンで一杯取り出して熱湯で溶くと、あっという間に即席味噌汁ができるというアイデア保存食だ。

 

昨日味噌玉を仕込み、今日の昼にお湯で溶いて味噌汁にして飲んでみた。出汁をとって野菜を沢山入れて作る普段の味噌汁に比べると、味噌の味がダイレクトに感じられ、めちゃくちゃ尖った味に感じた。味噌汁を飲んだ時に感じる安心感みたいなものはあまり感じられず、味噌が「あーし、味噌やで!これがあーし本来の味やで!」と呼んでもないのにめっちゃ主張してきてちょっと疲れる感じ。

 

普段の、大根やきのこや豆腐などと一緒に煮込まれた出汁に溶かされた味噌汁は、社会に揉まれて成熟した淑女だとしたら、味噌玉は世間知らずで思い込みと自己主張が激しいティーンネイジャーのよう。きっと失恋して痛々しい自作の曲を作って身の程を弁えずに人前で歌いよるで、こいつは。味も思い出もしょっぺえよ。

 

けど、それはそれでインスタントっぽいインパクトのある味で美味しい。手作りなんで余計な添加物も入ってないし、昼食に私だけが食べたい時にはとても便利。主張の強い尖った味で己の痛々しい思い出が蘇ってきてしまった(お前だけや)が、それさえ我慢すれば節約保存食としてかなり優秀な料理なのではないか。

 

青春も味噌玉も、尖っててしょっぱい。それはそれでいいじゃないか。そんな経験を経て、人も味噌も熟成されていくのかもしれないなぁ。

しかし、来世では黒歴史を量産しない、まともな人間に生まれたいと心から思う。