【育児】イワシの骨事件

その日は夫が夜勤で翌朝まで帰ってこない日だったので、早めに夕飯を済まそうと息子と食事をし始めたのが17時過ぎ。

味噌おにぎり、納豆、きのことわかめの味噌汁、冷奴と、こないだ賞味期限間近で割引されていた冷凍のイワシのフリッターをチンしたもの。夫が夜勤の日の夜はこんな感じの手抜きメニューを息子と食べる。

 

一緒に食べ始めてしばらく経ったころ、突如息子が「痛いー!」と口に入っていたものを全て吐き出しながら大泣きし始める。

どうしたのか聞いたところ「お魚の骨が喉に刺さった」のだと言う。大人の私は全く気にせずかみ砕いて食べていたのだが、確かにフリッターには極細の骨が含まれていた。

慌てて洗面所に連れていき、うがいをさせるが、全然取れないようで「痛いー!痛いー!」と泣き止まない。口の中を見てもなにも見えないので、喉の奥に刺さっているのだろうか。

 

時計を見ると17時半。近くの耳鼻咽喉科が開いてるか調べたところ、その日は定休日か診察終了になっていた。18時半まで開いてる耳鼻科が一駅先の距離にあったので、今から診てもらえるか電話をすると「混んでいるのでかなり待ってもらうことになると思いますが、18時半までに来てもらえたら診察します」とのことだったので、大泣きする息子を車に乗せ、ナビに耳鼻科の住所を入れ急いで病院に向かう。

 

車内でずっと息子が「痛い痛い」と大泣きしていて焦っていた私。ナビがあるとは言え、外はもう暗く土地勘のない場所なうえに、道中一方通行が多すぎて道に迷ってしまった。10分くらいロスしたがなんとか18時半までに耳鼻科に辿り着き、車を停めてふと気が付く。

 

「あれ?息子全然泣いてないし、機嫌も悪くないぞ?」

 

泣き疲れて冷静になったのだと思い、静かな息子を連れ受付を済ませ待合室の椅子に座る。そこには20人ほど患者さんがいた。これはかなり待つことになるぞ…と覚悟していたのも束の間、すぐに名前を呼ばれた。緊急性があると見てすぐに通してくれたのだろう。

 

ところが、診察室の椅子に座った息子は「魚の骨が刺さったんだって?アーンしてお口の中を見せてくれるかな?」と優しく接してくれるお医者さんに対し「嫌にゃん、帰る」と言い出す。

 

「もう痛くない、おうち帰る」

更に続ける息子。え、もしかして私が道に迷ってる間に既に骨取れてた?

 

「取れたの!?一応口の中を診させてね!…ほんとだ、何も見当たらないね…イワシの骨なら細いから自然に取れたのかもしれないね。よかったね。もうおうちに帰っていいからね」と、花粉症やら風邪やらが流行っているシーズンで相当忙しいだろうにとっても優しい先生。

他の患者さんより優先してもらって診てもらったので申し訳ない気持ちになり「ありがとうございました。お忙しいときにお騒がせしてすみません…」と頭を垂れながら息子を抱えて診察室を後にしようとすると、看護師さんが追ってきて「よかったら吸引して帰ってね。これ、頑張ったからガチャガチャも回してね」とコインをくれ、なにやら煙がもくもく出るシーシャのような機械の前に案内された。

(私は病院に疎いため、この機械が何か解らず、シーシャという俗な表現をしてしまうことをお許しいただきたい)(関係ないけどこないだ東京行ったときに友達に連れられて人生初のシーシャバーに行きました)(なんの報告)

 

とりあえずシーシャのような機械に繋がったホースの先端からもくもくと出る煙を「こんな感じでいいんかな…」と不安になりながら息子の鼻に近づけるが、全くその煙を吸おうとせずそっぽを向いてしまう。シーシャの周りには誰もスタッフの方がいなかったので、シーシャはほどほどにして、隣のガチャガチャマシンにコインを入れ、息子と回す。鳥の形のかわいらしい消しゴムが出てきた。

閉院間際にやってきて、優先して貰ったにも関わらず、結局何の異常もなかった我々に嫌な顔一つせず、それどころか優しく接してくれた上にシーシャ(ちゃうて)やガチャのサービスまでしてくれるなんて…

清算を終えた頃にはすっかりこの耳鼻科のファンになり、今度息子の耳垢を取ってもらうときにはここに来ようと思った。遠いけど。そして私は帰りも道に迷った。

 

何事もなくてよかったけど、息子と二人きりのときにこういう事態に陥ったら本当に寿命が縮まる思い。しばらく魚はシラスと缶詰くらいにしとこう。

 

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