【追悼】憧れのYMO

坂本龍一さんが亡くなった。

坂本龍一さんといえば、日本を代表するピアニストであり、作曲家や編曲家であり、自身が主題歌を作曲した戦場のピアニストでは俳優も務めたりと多才な活躍をされている人物であることは私なんかが言うまでもない。その中でも私にとって一番印象が強いのはYMO(Yellow Masic Orchestra)のメンバーとしてキーボードを演奏している教授の姿だ。教授とはYMOメンバー内やファンの間での坂本龍一さんの愛称である。

 

その教授という愛称の名付け親である、YMOのドラマー、高橋幸宏さんも、今年1月にこの世を去ってしまった。

 

私は89年生まれなので、YMOのリアルタイム世代ではないのだが、専門学校生のときにニコニコ動画YMOの映像を観るのにどハマりしていた時期があり、その時に購入した「YMO GO HOME!」というベストアルバムと「パブリック・プレッシャー/公的圧力」というライブ音源を今でも聴いている。

YMOの演奏は人間が生で演奏してると思えないほど、緻密で、正確で、美しい。学生時代パンクやメタルなどの曲を聴き、私自身もメタルバンドのベースをしていたのだが、そんな荒々しい雑然とした音楽(褒めてる)に耳が慣れたところに聴くYMOの整然とした音楽がとても心地よかった。

メタルバンドらしく「摩天楼を焼き払え!命乞いをしろ!」とか「この街を赤く染めろ!お前に明日はない」なんて物騒なフレーズ(私が作詞したんだが)の曲たちを週に2回ほどスタジオでずっと演奏し続けていると、気持ちもどこか悪魔的になってきたが(多分こんなんなってるの私だけ)、家に帰ってYMOのどこか懐かしくも都会的で緻密な旋律を聴くと、スーッと心が洗われて本来の自分に戻れる気がした。自分は全然都会的でも几帳面でもないんだけど。気持ちだけ。

 

「東風」と書いてトンプーと読む曲がある。ベースを始めた頃に、イントロの細野晴臣さんが弾くベースのフレーズを耳コピしようとしたら、あまりにも難しくてすぐに諦めてしまった。そりゃズブの素人だから弾けなくて当たり前なんだけど、それにしてもあのベースラインをずっと一定の速度でリズムキープして弾ける細野さんは超人である。細野さんだけでなく、高橋幸宏さんのドラムもコンピュータ並みに寸分の狂いもなくて緻密だし、教授のキーボードやヴォコーダーもブレなさすぎてロボットのようだ。YMOのテクノロジックな楽曲は、機械のように正確で抜群のリズム感を持ったあの三人じゃないと作れない。


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過激な淑女や君に胸キュンのMVでは、踊るYMOが観れる。あんな緻密で繊細な演奏をしているプロフェッショナルたちが、コミカルなダンスをしているのが可愛くて胸キュンだった。

 


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(君に胸キュンのMV、独特すぎなんよ。好き)

 

当時のニコニコ動画には(違法だろうけど)1983年の散開コンサートの映像がフルで上がっており、それを見て涙した。なんで自分はもっと早く産まれてこなかったんだと、リアルタイムでYMOの活躍が見られないことが悔しかった。


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2007年に再結成し、2010年代に何度かフェスなどに出演していたそうだが、その頃には就職しており、専門学校当時に比べると私のYMO熱は冷めていた。またいつか観れるだろう…と思っているうちに、二度と観れなくなってしまった。再結成と私の熱量のタイミングが合わなかった。今になって悔やまれる。推しは推せるときに推せとは正に。


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大好きな曲、以心電信。この曲の生み出す多幸感がたまらない。聴くと、暖かく柔らかい光に包まれながら、シロツメグサのたくさん生えた野原でコロコロ転がりながら遊んだ幼少期の時のような気持ちになる。歌詞は全然そんなこと言ってないんだけど、私はこの曲を聴くといつもそんなイメージが頭の中に浮かんでくる。あとこの時代の三人イケメンすぎないか。

 

 

実は息子の名前も、勝手ながらYMOのお一人のお名前から一文字拝借させて頂いている。とても聡明だし創造性のある方なので、同じ漢字を使うことで、少しでも息子にもその恩恵が得られますように…という想いが込められている。

 

 

高橋幸宏さん、坂本龍一さん、ご冥福をお祈りいたします。お二人の偉大な功績を胸にこれからもずっとYMOを聴き続けます。

 

 

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