【方言】バラエティに富む兵庫弁

私は神戸市垂水区出身。普段家で話していると和歌山県西牟婁郡出身の夫に伝わらないことがときどきある。

 

息子がこども辞典でカナブンを指差し「これ何?」と聞いてくるので「ぶいぶいやで〜」と伝えると、夫に「ぶいぶいってなに?カナブンやろ?オリジナルの呼び方教えんといてよ」と注意された。そうか、ぶいぶいは地元だけの呼び方か。そもそもなんでぶいぶいなんだろ。飛ぶときにぶいぶい言ってるのか。どっちかっていうとブンブンって感じだけど。ブンブン、からの、ぶいぶい、BKB!ヒィーア!(バイク川崎バイクさんは加古川市出身)

調べたところ兵庫県播磨地方の方言らしい。垂水区などの神戸の西の端はほぼ播磨地方扱いなので、ぶいぶい呼びが浸透している。

 

あと神戸市民は生協(コープ)のことを何故かさん付けで呼ぶ。

「明日コープさん(の宅配サービス)来るから、買い物行かんでええで」などと夫に言っていたら「なんでコープさんなん?イオンさんとか言わんのに」と不思議がられた。

夫に指摘されるまでコープさんはコープさんだったので目から鱗だった。物心ついた頃から、近くのコープのことを、周りの老若男女全員が「コープさん」と呼んでいたので、呼び捨てにするという発想がなかった。しかし、地元には食品だけでなく、衣料品や日用品や家具などが売っている「コープデイズ」という大型店があるのだが、そこはみんな「コープデイズ」や「デイズ」と呼んでいた。あれだけ頑なにつけていた敬称はどこへ。

 

他にも、大阪で一人暮らしをしていたときに、ゴミの分別を地元の人に尋ねたとき。

「荒ゴミの回収日っていつですか?」

「あらごみ?なんのことや?」

と通じなかった。荒ゴミとは不燃ゴミのことである。これは神戸弁らしい。

 

一口に兵庫県と言っても、東西南北に広いので、神戸より西の姫路方面の人の言葉(通称播州弁)が全くわからなかったこともある。

高校のときに姫路から通っていた同級生がいて、文化祭の準備の時にろくに手伝わずそそくさと帰ってしまった男子にブチ切れて言った台詞が印象的だった。

「あいつ、もういんだんけ!?ごじゃごーわくのぉ!!しばいたろか!!」

 

え、なんて??

なんかブチギレてるのはわかるけど、しばいたる(関西弁で殴るの意)以外何言ってるか全くわからんぞ。

後ほどクールダウンした彼女に意味を聞いたところ「いんだ=帰った」「ごじゃ=すごく」「ごーわく=腹が立つ」という意味の播州弁らしい。神戸と姫路、距離的にはそんなに離れていないのに、地元では全く耳馴染みのない言葉に衝撃を受けたのを覚えている。

 

あと、神戸弁の最たる例といえば「なにしとーん?」(なにしてるの?)だ。「してる」が「しとー」になる。自分が行動を起こすときも「今〇〇しとーで」という具合に用いられる。

大阪に住んでいるとき、自分では地元の人に完全になりきっていたつもりでいたが、この「しとー」「しとー」で余所者とバレてしまっていた。

一口に関西弁と言っても、住んでいる場所で微妙に違ってくるのが方言の面白いところ。これが大阪弁だと「してん」や「しよる」になるし、京都の人は「してはる」と言う。和歌山や三重の友達は「しやん」と言ってたりした。この微妙なニュアンスの違いで関西人は話す相手の出身地をいとも簡単に当ててしまう。

(もっと細かく分けられると思うけど、詳しくは割愛します)

 

方言って面白い。だから他の地域の人と話すときは、いつもいろんな発見があって楽しいのだ。

 

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