ゴリ、ゴリ、ゴリ…
鈍い音で目が覚めた。音の先に目をやると、息子が壁に向かってなにやら棒のようなものを突き刺していた。
壁が直径2センチほどえぐれており、削られた壁の残骸が床に散らばっている。
うわぁ…えらいこっちゃ…
最近私がしょっちゅう口にしている「えらいこっちゃ」、息子も習得してしまい、嬉しそうにこちらに向かって言ってくる。
「えらいこっちゃ〜!」
自ら壁をえぐっておいてえらいこっちゃとはこれいかに。
4月に引っ越してきたばかりのこの家は、築12年の中古物件。まあまあ綺麗だったので業者にリフォームを頼まず、多少の瑕疵は自分で修復した。
その時に使っていた壁の穴埋めパテが残っていので、すぐに修復できた。
中古物件だったから「えらいこっちゃ」で済んでいるけど、これがこだわりの新築注文住宅だったら、きっとブチギレている。中古でよかった。心の余裕が違う。
私が料理を作っている間に、壁に真っ赤なクレヨンで盛大に落書きされていたこともあった。これも引越し前に壁紙の黒ずみを自分で除去した経験から、雑巾とセスキ水で綺麗にすることができた。正直その時は腹が立つが、なんとかなる術を知っていると慌てずに済む。
できることなら寝室の壁も自分好みに壁紙を貼ったり塗り替えたりしたいが、子供が小さいうちは、きっときれいにしたところでまたすぐにイタズラされると思うので、物事の分別が付くまでDIYはお預けである。